武林日記(98/9)

エッチマンガ
その2

その現状と可能性

はじめに、かなり独善的で、かつ手前勝手な意見になってしまう事を
ご了承いただいたうえで、お読みくださればと思います。

エッチマンガである以上、ノルマシーンというものが存在します。裸やカラミ、まさにエッチマンガが、そうである為の部分であり、売りであり、武器であるものだと考えています。
描いていても、読んでいても、なんだかちょっと後ろめたいような、それでいて楽しみな、ドキドキする(させてほしい)ものかな・・・・と考えた時、少々の疑問が生じました。

最近の私は、その手のジャンルの単行本を手にしたとき、多くの場合はじめの数ページをめくっただけで、冷めてしまう感が否めないんです。
確かに以前手に入れた単行本よりも、絵のレベルは格段に高くなってると思いますし、過激度合いも増しているようには、見受けられるんですが。
ならば、なぜなんだろうと、考えずにはおられなくなり、その考えを自分なりにまとめるためにも、こうやって文章にしてみました。

ある知り合いの漫画家はこう言います。
ノルマシーンに8〜10Pとられてしまうから、ストーリィを追うための余裕がそれと同じ、もしくはそれ以下のページ数しかとれず、結局シチュエーションと登場人物の絵的な紹介・唐突な「チャンチャン」というようなオチしか入れられない・・・と。

なんとなくわかります。多分マンガとして「読ませる」部分と「見せる・魅せる」部分とに分けて考え、その「読ませる」ほうの少ない現状を嘆いているんだと思います。
まだ、彼などのように、もがいている、もしくは思い悩んでたり不自由を感じているだけでも、そこに「現状への疑問」がある方には、私も共感できる部分があります。

ただ、これは私が今、そういう悩みに直接囲まれてないからかもしれませんが、そういう状況を、
「描きたいものが、描ききれない」
ととるか
「自由度が、ある意味では広い」
ととるか、とらえかたの違いによっても、ちょっとは打開できる・・・なんてな事はないのでしょうか。
エッチマンガであるからこその自由度、通常は踏み込めない描写までが可能なわけですし、エッチの描写もただの「いやらしいでしょ」「エッチっぽいでしょ」というものから、「エッチの際にしか描けない、人間の(男の)感情・欲望のほとばしり」とかまで、いくらでもキャパはあるように感じるんですが・・・。

ここから、自分の事を棚にあげて書きますが(実は私も、同人誌から青田買いでこの業界にはまったわけですから。
同人誌でのエッチモノの多くに、既存のアニメ・ゲーム・マンガのキャラの「エロ・パロ」があると思います。そして絵がとびぬけて上手い同人作家がプロデビューしてエッチ雑誌などに作品を載せるようになるわけですが、その際、どれだけの「意識改革」を自分に課しているのか。そこが重要なんだと思います。

プロである以上、コンスタントなプレゼンが要求されます。同人の頃とはかなり違う、忙しいスケジュールで、次から次ぎへと描かなければならなくなるわけですが、そうなるとどうしても、その作家の持つ「本性」と言うか「キャパの深さ」・・・極論を吐けば、化けの皮がはがれる、なんて事もあるわけです。
同人の頃は、「今度はどのキャラを描くか」と、ターゲット・もとネタがあったんですが、商業誌では完全オリジナルが原則ですから、いちいちキャラを「立ち上げ」なくてはならないわけなんですよね。そうなると、いきなりキャラが薄っぺらくなる。ありきたりの美少女・美女がありきたりのエッチを何度も繰り広げる。
となると、絵柄に飽きられたらもう勝負する武器すらもなくなってしまい、流行のものを匂わせるようなオリジだかパロだか、わからないようなものを追いかけるようになる。
やみくもに過激さを増してみる。
反則にまで踏み込んでみる。
・・・・といったところでしょうか。

もちろん、例外もあるとは思います。
ムードやセンスだけでも、独特のプロ作品をプレゼンできる一部の作家は確かにいます。
いわばニューウェーブのマンガなんでしょうね。
そういうモノも、アリだとは思いますが、正直言ってそういうモノばかりになっては、なんともつまらない・わかりにくいと感じています。
実際そういう流れをメインとする雑誌なんかも出来てきていると思いますが、当然そういう作家は希少価値ですから、その他の部分を「真似っこにすぎない作家」でおぎなう事になってしまっているようです。(それがまたこの上無く見苦しいんですが。)

そろそろ「マンガの王道」をやってもいいんじゃないかと思うんですが。

キャラをつくって、話をつくって、読める話に立ったキャラ、そしてヌケるエッチ(笑)。
キャラを立てる事、話を考える事、演出に悩む事は、もぉんのすご〜く大変な作業だとはわかりますが、しかし、それが同時にとても面白い事なんだと思います。
そんな漫画家(プロ・アマを問わず)にしか味わえない面白味を、自ら排除してしまってはなんとももったいないなぁと感じてしまうわけです。

エッチを物語ってくれ!
(なんだ、結局自分の読みたいもののリクエストかい!・・・・・苦笑)

追加して、
編集部レベルでの意識改革が、まず必要なんだろうと思います。
雑誌にいくつものマンガがあるわけですから、全部が全部とおりいっぺんのモノに間に合わせてしまうだけでなく、長いスパンで見るべき作品の一つや二つ、仕込んでみてもいいのではないでしょうか?
読み応えのあるエッチマンガを描きたがってる人は、そして読みたがってる人は、私の他にも、けっこういると思いますよ。


(’98.8/29)

エッチマンガについての記述は、これで一応終わるつもりです。

反論や、要望などがあれば、また書きますが。

また、武林もいろいろと考えていくのを良しとしていますから、「そうは思わない!」意見は本当に歓迎いたします。なかなか思うように時間がとれない現状ですが、面白い事にはなんとかして応対したいと考えていますもんで・・・。