武林日記(撮影日記)

やや残暑が厳しい9月25日、かねてから担当編集氏との約束であった、エース巻頭企画の撮影に赴く。

12時に早起きして(普段は2時前には起きたことがない)市谷の編集部へ。サイン本や、ホワイトテレカなどの描き仕事をちょっとだけやり、ヴァリアント単行本のアンケートはがきに目を通したりしているうちに、予定の30分前になる。編集長と担当とで、タクシーに乗り、池尻大橋のスタジオへと向かう。

表向きは、武林の仕事部屋での撮影ということだが、以前に某NORAで書いたとおり、うちの仕事部屋は和室6畳の狭さなので、撮影に耐えうるわけがない。かたづけてもいないから、実質4.5畳より狭いくらいだし・・・。だから、ここだけの話、掲載写真の舞台は「らしく」見せただけで、スタジオセットです(笑)。

5時ややすぎた頃、スタジオに到着。約束が5時だったんで、少々気にかかていると、女の子二人はもう既に上の階でメイクにはいってるとのこと。なのに編集長はぜんぜんあせった様子もない。なるほど、それから1時間以上メイク待ちであった(苦笑)。

今回のテーマは「カラーイラスト」。さすがに自宅で使ってるカラー画材をすべて持って行くわけにもいかず、相談の末コピック何本かと、マービーのマーカーセットを用意してくれることになっていた。

私はコピックは使うが、それだけでカラーを仕上げた事はなかったので、少々心配していたが、思いっきり希有に終わる。それは後にわかった。

今回の下準備として、テレカ用に描きおろしたイラストと、その線画段階のコピーを用意していたのだが、その使用原稿はセルフィのヌードなので、ベタぬり少女隊(仮名)が中学生と聞いていたから

「ちょっとまずいかな・・・?」

というわけで、ちょっと手を加え、水着を描き足したバージョンのものも用意しておいた。(あぁ・・・私ってなんて、ジェントルマンなんだろう。笑)

この時は、結局水着バージョンのほうを使用した。

小一時間もしたころ、安斎恵吏嬢のほうがメイクを終えて、降りてきた。実はここまで女の子二人とも中学生だと(勝手に)思い込んでいたんで、

「これはまた、ずいぶん大人びた中学生・・・・?」

とびっくりしていたところ、彼女はなんと二十歳とのこと。それにしては幼く見えると、今度はそう思ったりして・・・。

マンガをよく読むそうで、武林のマンガも彼女の弟が好きで、自分も読んだことあります。・・・だそうで、失礼ながら

「さすが、マネージャーとかに、よく躾を教えられてるなぁ」

と、その時は邪推してしまった(苦笑)。あとで、サイン本を手渡した時、自分の荷物からもう一冊もって来て、弟のためにもと、サインを頼まれたときに、私の考えがひねくれていたことを恥じる。

そのうち、古川小百合嬢のほうも降りてきて、撮影開始スタンバイ整う。

こちらは、14歳。まんま中学生で、まぁ恵吏嬢とは、姉妹といった感じ。ものおじしない、明るい女の子だった。

だいたいタマゴといえど、アイドルなんだから、写真で見るよりは実物は相当かわいいのだろうと思っていたが、やっぱり想像してたとおり、クラスで一番かわいい子なんかのレベルとは、ちょっと違うものがあったような気がする。

しかし、挨拶とかがちゃんと出来るあたり、普通のちょっとかわいい女の子よりも、好感がもてる・・・・かな。(ここんとこ、ちょっとオヤジモードはいってますね・笑・まぁ、16歳下と22歳下だからしょうがない・・・)

そして撮影開始。線画のコピーを二人に渡してマーカーで着色してもらう。もともと仕事用の原稿には、私でさえ一晩かかるのはざらなので、そんなに細かいことは出来ないだろうと、ちょっとしたプロ流の、「ぬいた着彩法」(みたいなもの)を、コツとして教えるつもりだった。

(驚いたことに、進行はすべて私まかせということに、この時になって気付いた。笑・・・いや、てっきり、これこれこうやってくれと、言われると思っていたから・・・。)

机をはさんで、カラーのてほどき。ちょっと10年ほど前の家庭教師をやってた頃を思い出したりする。

お手本どおりに塗ってもらうのも、なんか味気ないので、色選びは自由にする。そのとたん、二人とも一心不乱に塗り出す。特に小百合嬢のほうなんかは、カメラさんに言われなければ、ず〜っと下をむいたままの状態だった。恵吏嬢は、もともと絵を描くことに自信がないらしく、さかんにその旨を連発していたが、こっちの教えを素直に受け取り、見事に(手を)抜いた塗り方で、先に塗り終わる。それでも、ここまで一時間半。

一応おきまりで「どっちが勝ったか?」という判定をせまられる。詳細は雑誌にて。

最後に階段で3人の写真を撮ることになる。

漫画家なんて、いいかげんなもので、ペンを持って机に向かってる時に、いくらカメラを向けられても、そんなに意識せずにいられたのだが、なんもしないで、ただファインダーで覗かれるという立場になると、とたんに情けなくも緊張がはりつめてしまう。

「先生、もっと笑って。表情が固いよ。」「手が固くなってるよ。」

と、さんざんだ。

その時恵吏嬢が、気をきかせて、いろいろしゃべってくれたんで、助かった。そうか、しゃべってればいいんだな、と気付き、撮影の間中(1時間くらいに思えたが、実は20分程度だった)ダイエットの話とか、しゃべっていた。

9時近くになって、全てめでたく終了。女の子二人も私服に着替えてきて、ちょっと雑談。

とにかく慣れないことは、疲れる。特に精神的な(いらぬ)緊張が大きかった。しかしもとより、そんな様子を見せることを、変に強がって隠してしまうたちなので、余計にほっとしたのかな。

普段はあんまり好きではないんでやってないが、この時は担当氏がタバコに火をつけてくれるのが有り難かった。(それだけ全身倦怠感のかたまりだったのさ)

エディターの方々プロダクションスタッフの方々、ご苦労様。

撮影スタッフ、お手間かけました。

そして二人のアイドル(の卵)さん、おつかれさん。うまいこと、羽ばたけるといいですね。

こうして、長い半日が終わったんだが、ただひとつ残念なこと。

実は撮影4日前に、眼鏡を新調したんだが(それも、知り合いの女性に、わざわざ見立ててもらって・笑)その出来上がりが撮影日に間に合わなかったってこと。

まぁ・・・・なんにしても、これで、つまんない顔が11月末のエースに載ります(苦笑)。

(98/9/28)