マンガの
(武林風)描き方
その12 -2
 
今回は特に漫画家志望の方々へ


で、私はここで「う〜〜〜ん」と考え込んでしまうわけです。
いいモノを描くには時間がかかる。
本当にそうなのかなぁ?
時間をかけて描いたものは、作画クォリティが高くて、プロになるための勝負を賭けられるモノになる。
本当にそうなのかなぁ??
やがてプロになった暁には、月刊でも週刊でも、そのニーズに対応できるスピードを、その時になってから身につければいい。
本当にそうなのかなぁぁぁ???
もちろん、そういう覚悟ができていて、
その覚悟と自分の予定と目標どおり、やれる人はいると思います。
そうやって現在プロで、おもしろいマンガをプレゼンされてる方もいらっしゃることでしょう。
でも・・・ね。
やっぱり意識として欠けてる人もいらっしゃると思うのが、
「漫画家って、そのほとんどが、採用=即戦力として考えられてるのではないでしょうか!?」
ということなのです。

一部の大手の雑誌で、二軍を抱えられる許容量のあるところはさておいて、
即戦力でない作家(の卵かな?)をどうこうしてくれるほど、余裕のある商業誌なんて、
ほとんど無いんじゃないのかなぁ?
採用=即掲載(=代用原稿を含む)以外には、
「うん・・・今回のはイマイチだねぇ」
「これじゃ悪いけど、載せらんないなぁ」
「じゃぁ・・・また描いてきて」
が、オチではないでしょうか?
そういう場合、一作一作に手間暇かけて時間をたぁ〜っぷりかけて・・・なんて、
言ってられなくなるんじゃないかな?って思うのです。
漫画家志望の時点で、
実はもう既に、「掲載枠争い」の一員であり、
他の漫画家志望者との争い、
既存の漫画家(=特に私のような冷や飯食い・打ち切りヒヤヒヤ漫画家)などにとって、
飯の種を争う相手になってると思うのです。
漫画家志望の時点で、何処に目標をおいてるのか・何を基準に考えているか知りませんが、
私はやっぱり「その雑誌の読者を楽しませる」ことではないか?と思うのです。

たま〜に載っているだけのマンガでは、
(もしそれがワリと気に入ったマンガだとしても)読者は覚えてくれません。
覚えてくれなけりゃ、待っててもくれないでしょう。
だいいち、読み切りを年に数本描いただけで、
その収入で暮らしていけるわけもないでしょうし。
(漫画家の原稿料なんて、たかがしれていますもん/苦笑)
「デビュー」を何かのハードル・・・喩えるならば入学試験や入社試験・資格試験のように考えてはいませんか?
これが出来たなら、漫画家になれる。
残念ながら、そんなものではありません。
私のように、なんとなくデビューしちゃうことだってありますし。
代原がデビューなんてことも多いでしょうし、
大々的なお披露目で「期待の大型新人デビュー!」なんて飾られても、次の作品が
日の目を見れないことだってあります。
(私がプロ野球好きなので、何かにつけプロ野球に喩える癖がついてるのですが)
プロ野球の二軍選手もしくはプロ選手予備軍で、
一軍スタメンの選手よりも、バットを振る回数が少なく、
(ピッチャーの場合は投球練習の数・・・ね)
「一軍にあがったら、スタメンになったら、いっぱいバットを振ってヒットを打ってやる」
みたいな考えの人は、まずいないでしょう。
実際一軍の選手は、お客の前で何千何万とバットスイングを繰り返し、
ヒットも打てば、三振もしてるわけで、
そういう奴を蹴落として、自分が桧舞台に登るためには、
理想と、(あえて)空論と、若さと、好きという情熱だけでは、太刀打ちできないんじゃ
ないでしょうか?
奴らはお客の前で千回バットを振る。
ならば(お客のいない)俺は百万回振って、追い抜いてやる。
とかいうのが、妥当に思えるんですけど。

で・・・もちろん理想としては、既存のプロの数倍もの量をこなす、
というのが良いんだろうけど。

そうもいかないから、せめてプロと同じだけ、物量でもこなさないと、
なかなか「(プロになるための)上達」というものは、効果を見られないんじゃないかなぁ?
とか、思ったりするんです。
「描くのに慣れれば、早くなるよ」
とか言う人は、
なぜそれが今の漫画家志望者である時期に、「描き慣れ」できないのでしょうか?
いっぱい描ける作業スピードのクォリティというのもあります。
いっぱい描くからこそ、次に思いつけるモノというのもあります。
いっぱい描くからこそ、描ける細かい描写というのもあります。
いっぱい描くからこそ、描ける壮大な物語というのもあります。
そしてそれらは全部、漫画家になるためには必要なものだと思います。
「得ていて武器になることはあれ、邪魔にはならない」ものであると思います。
もちろん私もまだまだ修行中の身です。
もっと早く、もっとたくさん描かなくてはならないと思っています。
「ああ・・・俺もいっぱい描かなくちゃ」
とか思った方、
もし貴方の持ち込み・投稿先が月刊誌なら、毎月持ち込みしてみてはいかが?
少なくとも編集は、そんな志望者には一目おいてくれます。
そして私はもとより、既存のプロの漫画家連中と競争・勝負しましょう。
私も負けないよう、そして先輩漫画家達にも負けないよう、がんばります。
「俺は別にいっぱい描けなくてもいいや」
とか思った方、
別にプロになる必要は無いのではないですか?
アマチュアとして、趣味として、マンガを描き読む楽しみも、それはそれで素晴らしいことだと思います。

なんだか、ハッパをかけようとして、
自分に一番「グサリ!」と来るような文章になっちゃったなぁ。
ま・・・いいや(笑)
毎度のことながら、異論も反論も大歓迎です。
(2000/1/3)