マンガの(武林風)描き方
その8
Q&A編A

 私、漫画を書こう書こうとは思ってるのに、どおしても出来ないんですよ。

やっぱりろくに男とか書けないし、背景書けないし、老人とか太った人とか書けないし、書こうと思う方が間違ってるのかも…。

練習してそこそこ書けるようになってから、初めて、漫画が書けるのかなあ。

これだけは確かな事だと思いますが、
やはり「いっぱい描く」という以外に、上達方法はないんじゃないかと思います。

いろんなキャラを描くためにも。
そして、実際の人々を、「描く視点で」よ〜く観察することですね。
他のマンガや、写真などばかり、参考にしているだけでは、
「自分の絵」にはなりにくいと思いますから。

もちろん背景作画においても、同じようなことが言えると思います。

それと、「練習=即、実践・実戦」だとも考えています。

「まだ描ける実力がない」とか「練習してチカラをつけて」とか考えるより、

「自分は描きたいのか?」「何を描きたいのか?」「今すぐにでも描きたいのか?」ということを大事にすべきだと思います。

練習というのは、プロデビューした方々でも、とてつもない物量の作品群を生み出した方々でも、必要とあればいつだってやってるものです。

実際マンガを描いてみて、

「ああ、こういうシーンが、思うように描けてないなぁ」とか

「こういうキャラが描ききれてないや」と思ったときに、

はじめて「それらを描けるようになるための練習」というものが、意味のあるものになると考えています。

漫画家になるのって、とてつもなく難しい事なんですか?

どうにも漫画家って身近に感じてしまう事があって…でも皆が皆そう思って、漫画とか出してたら、競争率高いですよねー。

これも、人によりけりです。
絵がうまい。
人に好かれる絵が描ける。
いっぱい描くことに、なんの抵抗もない。
いろいろ「羨ましい」特技もありますし。

自分に備わってない特技に憧れることは、私もしょっちゅうのことです。

ただ「思い」の「熱さ」がなければ、
なかなか実現するのは難しいかもしれません。

「自分は描きたいんだ!」

「こういうものが描きたいんだ!!」

「難しさ」というのは、むしろその「思いこみ」を、どこまで執着することができるか、どこまで表現することができるか、という方にこそ、あるのかもしれません。

身近に感じてもらえること、皆がマンガを描きたがる・プロになりたがるということ、

それが本当にそうだとしたら、確かに競争率は上がるとは思いますが、

それだけ「愛着をもってもらえるメディア」だということ、

「身近に存在できてる表現方法」だということを、

私は嬉しく、たのもしく感じます。

そう言えば、ある事を耳にしたんですけど。義務教育が終わってない子供が漫画を送って来ても、入選ぐらいには入ったとしても、絶対デビューはしないんですか?

まあ、学校行かずに、漫画ばかり書くわけにはいかないだろうし…。 

先生は漫画家になるの、すごく大変でしたか?何度も何度も出したりとかして、練習してやっとデビュー出来たんですか?

中学生で漫画家デビューした方もいらっしゃいます。
もちろん、プロの世界に、作品や、仕事に対する姿勢、以外に評価される点は、ほとんどないと思います。

ただ、やはり「ものの見方」「経験」「考え方」「表現の手段」など考えてみても、若いうちはそれなりのハンデがあるでしょうね。

たとえば、「怒涛の恋愛感情」を経験したことがないうちに、そういう感情をキャラで描写しようとしても、うわすべりな恋愛モドキになってしまう恐れがありますし。

自分の経験、ものの見方、考え方は、ひいては表現方法にまで膨らんで、作品を他人に読んでもらうときにアピールできるか否かの、大きな武器になると思いますから。

(もちろん、その逆に、読者との年令ギャップが少ないという、私のようなおっさんにはどうしようもできない利点というのも、あると思いますけど。)

私はどちらかというと、運良くなりゆきでデビューできたんだと思います。

デビューするまでに描いた分量は、描くことが楽しくてしょうがなかったこともあり、そこそこの物量を描き散らしていたと思いますが、

まぁ、決して修行とか、練習とか、そういったたぐいの立派な野心はなかったように思います。

ただ、楽しんでいただけなので、苦しんでどうこう…という覚えがないのです。(苦笑)

しかし、そんなツケの支払いとでもいうのか、

デビューしてから30歳ぐらいまで、仕事らしい仕事がありませんでした。

なんとかしたいと思いながら、あがき続けの毎日だったんですが、
それでも20歳代をいっぱい遊んで、過ごしてきたように思います。

ただ、今のような時間がない仕事漬けの毎日を考えると、
「あのとき、思う存分遊んでおけて、よかったなぁ」
と考えずにはおれません。

ところで、絵にはやっぱり、個性と言うものがあった方が…いいですよね。

私の絵…めちゃくちゃ個性なくて…。どうやったら個性が出るんですか?

マンガに限らず、
「何かを表現すること」そして「読んで(見て)もらえること」
(そして、それを商売・プロ仕事にすること。)
それらのためには、やはり「自分なりの考え方」というものが
確立しているのが、理想的だと思います。

個性というのは、私が考えるに、
なにも「見かけの絵柄」だけではないと思います。

同じシチュエーションを与えられたとしても、
それを「どう判断するか」「どう対処するか」
「どうなりゃハッピーエンド」で「どうなったら悲惨な結果」なのか、
その人々で、違うんだと思います。

そういうことを全部ひっくるめて考えて、
セリフのひとつひとつ、
キャラの表情のひとつひとつ、
場面構成の隅々まで、
「その人なりの、解釈・考え方」「その人なりの、表現方法」
そういうものが、ひいては個性をかもし出すのではないでしょうか。

「自分なりの考え方」を
しっかり考え、煮詰め、試行錯誤しながら
「どうやったら、読む(見る)相手にわかってもらえるか」
試してみることだと思います。

表現者側の考え方がしっかりしていない作品は
(あるいはプレゼンテーションは)
必ず「どっかで見たことがあるなぁ…」というものに
なってしまうと考えていますから。

(99/6/14)