マンガの(武林風)描き方
その9Q&A編B

> 今日は、武林先生に聞きたい事があってメールしま
>した。私は漫画家を目指していますが、最近、こう言う事をすれば腕が上がるん
>じゃないか?と思う事を考えたんです。
> それは。何でもいいです、雑誌等で適当な漫画は選び、それをそっくりそのま
>ま真似ると言う練習方です。背景・構図・キャラクターとかコマ割り等。でもキャ
>ラクターや絵のタッチは、自分の絵で書きます。背景の書き方のコツを、絵を見
>て盗んだり、等。そしたら背景とかも、自然と書けてくる様になったりとか…。

とにかく「画力」を上げたいのならば、
どんなカタチにせよ、
描きまくる、というのは、効果的かつ基本だと思います。

がしがし、ばりばり、とにかく物量を描く、というのには賛成です。

ただ、御相談の件では、
いくつか「それはどうかな?」と思う、私なりの疑問点もありましたので、
それについて書かせていただきましょう。

まず「何でもいい」というのは、いかがなもんでしょうか?
自分がぱっと見て、
「ああ、この構図上手いなぁ」とか、
「見せ方、コマ運びは、こうやるのか」とか、
せめて「気に入ったマンガ」を、もしくは「気になったマンガ」を素材に選ぶほうが、
やる気も出るでしょうし、自分の目指すものにも近いのではありませんか?

更に、いくらプロのマンガと言っても、いろいろありますから、
見る人によっては、「教材にも、何にもならないもの」というのも
あると思います。
いわゆる「目指してるベクトルが違う、作品」というヤツです。
そういうものは、たぶん、参考になるどころか、
自分の感覚を鈍らせてしまう危険性もあるか、と思うのです。

それと、もうひとつ。
こちらのほうが大事なことだと思うのですが、
自分のマンガ」を描くという、最終目標があるのでしたら、
自分なりの表現というものへの「
こだわり」が、
その手の「修行」において、
満足できるのでしょうか?

私が考えるに、「マンガを描く」ということは、
絵を描く」ということと

話を創る」ということ、

さらに「どう見せるか演出する
これらのことが、いっしょくたになって、同時になされるべきではないかと、思うわけです。

ですから、理想論を吐けば、
どんなに完成度が低くても、あるいはどんなにプロっぽくないものでも、
自分のネタを、マンガの形にもっていって(=ネーム)、それを作画して、ひとつの作品に仕上げる
ということのほうが、何倍もマンガのスキルを上げてくれるんじゃないかな、と考えています。

かと言って、
なかなかネームというカタチには、できないから、とか、
とにかく「描く」という修行を始めたいんだ、というような思いがあるのでしたら、
「手っ取り早く、その修行を開始する」という意味では、
貴方が考えた方法というのも、ひとつの手段なのかもしれません。
(私には、思い付かなかった「やり方」なので、ちょこっとおもしろいかも、
と思ったわけです)


ですが、

まぁ、あくまでも「自分のマンガ」を描いてこそ、プロへの第一歩だと思いますから、
こんなのはどうでしょう?
せめて、他人のマンガ(プロ・アマを問わず)を見て、
同じようなシチュエーションを表現するとして、
「自分なら、こうコマ割りして、こう画面作りするのに…」とか
「自分のキャラなら、こんなセリフはしゃべらないから、こう言い直す」とか、
自分のものとして、焼き直してから
(自分がその作品を、まるで添削してるがごとくに、です)
ネームをきって、
作画をする…というのは、どうでしょう。

やっぱり、絵の上手さというのは、
「見せ方」と「絵柄」が同時に出来てこそ、だと思うのです。

こんなんで「お答え」になったでしょうか?

(99/7/22)