マンガの(武林風)描き方
その10「きっかけ」のひとつ

このような(だいそれた題目の)コーナーをやってるからか、最近とみにいろんな方々から、「描き方」や「画材」「気持ちのありかた」などについてお問い合わせや、「自分はこう思う」などのメールをいただくようになりました。

私の経験と、私の考え方だけに基づいて、なるたけ「あたりさわりのない一般論」にならないよう、お答えしていこうと考えてるのですが、今回も、そんな「私なりのやり方・考え方」のひとつです。

私がかつてそうであったように、
「マンガ絵を描くのが好きだ」「少しでもスキルアップしたい」
「ゆくゆくは、コママンガなんかも描きたい」
と(ちょっと恥ずかしいけど)思っているのに、
さて、いざとなったら、なかなかコマをわったカタチでのマンガを描くというのが、
なんとなく大変で、
なんとなくおっくうで、
描き始めようとする時には、「やる気まんまん」(死語?)なのに、何Pか描き進むと、「いつのまにかやる気がなえて」尻切れトンボで終わってしまう。

そうすると、過去のそういう経験が、ちょこっとだけ「うしろめたい」ような気持ちになって、
「俺にはコママンガなんて、しょせん無理なんだよなぁ」
なぁんてあきらめちゃったりしちゃいます。

アニパロや、ゲームパロマンガを描くほうに「興味」と「矛先」を換えて、短い「やおい」や「一発オチ」、「エロ」なんかの、小作品をステップにするのも、ひとつの有効な手段だと思うのですが、
なかには、「オリジナル絶対主義だ〜っ!」と、
あるいは「(できるならば)漫画家志望だから、オリジにこだわりたい」
とかいう考え方も、もちろんあるわけで、
そういう方に限って、
いきなり何十Pもの(その人にとっては)「超大作」を構想しちゃったりして、ペン入れ2P目ぐらいで、挫折しちゃうわけです。
(…まさに、10ン年前の私自身なんですが・苦笑)

で…ね。
「そのときの自分」に言いきかせたいのが、
「そんなに、片意地をはらないで、こういう『楽しみ方』も、あるよ」
ってことなんです。
どんなに野望があろうとも、意志が固かろうとも、やはり楽しみがまったく無いものでは、そう長続きするもんでもないでしょうから。

それに、描いている側が、
「読んでくれる人に、こんなふうに楽しんでもらえたら…」
「自分のマンガのこんなところを、気に入ってもらえるかなぁ」
などと思い描くことによって、やはり「わくわく」していなければ、描いたものが「楽しいもの・おもろいもの」になる可能性は、どんどん薄くなっていってしまうだろうと、考えますから。

で、私の提案。

一枚絵のイラスト(もしくは落描き)なんかは、もうほんっとによく描いているんだと思います。
かっちょいい男キャラや、かわいい女の子、きれ〜なおねーさんキャラとか。

別に「人に見せて評価を得る」ためのものではないですから、そういうものを描くときは、とても楽しく、あるいは、もう条件反射的に描いていたりしますよね。

左むきばっかしのキャラの、バストアップ・カットばっかりかもしれません。
いっつも「同じ表情」や「同じ髪型」かもしれません。
いや…そうでしょう。私も本当によく、思い当たりますもの。(^^;)
教科書やノートのはじっこなんかに、ね。
気がつくと、もぅページごとに、描いてあったり。

で、そういう描いていてキモチイイキャラの、お得意のキャラの「プロモーションフィルム」みたいな感じでコママンガっぽい表現をしてみるのはどうかな?ってことなんです。

何度も何度も描くうちに、そのキャラの「隠れた様々なパーソナリティ」というものが、知らず知らずのうちに、描き手の中でできあがっていることでしょう。
そして、いつもいつも「笑顔」や「あおりっぽい表情」だけを描いてばかりいることにちょっと飽きがきて、クチを「へ」の字にしてみたり、ちょっと眉をひそめさせたりすることもあるでしょう。
そんな時には、たぶん「一枚絵」に、気づかぬうちに表現キャパの限界を感じていたりするものです。

そして、そういう時こそ、「一歩踏み出すチャンス」なのでは!?
と考えているわけです。

ひとりキャラの、ちょっとした側面、生活環境、
たとえばこの女の子は(私の場合、容易に想像がつくもんで、とりあえず女の子キャラを例にあげます・笑)高校1年生(ぐらい)で、
ちょっと「お嬢様系のミッションスクール」に通っていて、
でも、自分の環境にちょっと不満足だったりして…等
そういう側面があればあるほど、そのキャラに「厚み」が出るわけですし、よりいっそう、息づくキャラになっていくのです。
そんなものが、「表現できれば」と、思うわけです。

そんな「お気に入りキャラ」を、
作者自信の「こだわりの目線」で追っていることを想像して、
それをコマをわって、表現してみるわけです。

ちょっとは違う表情も描けるかもしれませんし、
たとえばキャラの目線がこっちを向いてない、ってだけでも、
普段のポートレートなイラストと組み合わせれば、
そこにちょっとした「動き」やら、「雰囲気」がプラスされるわけです。

作品として、どうこういうよりも、
まず表現の可能性を、広げられることを
楽しんでみるべきだと思うんですよ。

すなっぷ写真のバージョンアップ版のような。
イメージビデオのような、
そんなコママンガがあったって、いいんじゃないかと思いますし。

そんな「息吹き」をあたえられたキャラに、
今度は、お話を「かませ」たくなったら、
そのときは・・・

投稿・プロ漫画家
とかは、とりあえずおいといて、
「そんなコママンガの楽しみ方も、おすすめ」という駄文でした。

(99/7/23)